矯正歯科治療が保険診療の適用になる場合とは

矯正歯科治療は一般的には保険適用外ですが、下記の場合に限り保険診療の対象となります。

顎変形症(あごの手術を併用するもの)の手術前・後の矯正歯科治療

あごの手術を併用する矯正治療とは

上あごと下あごの大きさや位置が大きくズレていると、上下の歯がうまく咬み合わず、顔の形も歪んでいます。
ある程度のズレは歯の位置で補正することができますが、あごのズレが非常に大きい場合、歯の矯正歯科治療だけでは咬み合わせを治すことができません。

このような場合、外科手術によって骨をバランスのよい位置に動かします。
あごを動かしただけでは上下の歯はきちんと咬み合わないので、矯正歯科治療も受けなければなりません。
このように、矯正歯科治療単独でなく、外科手術を併用して咬み合わせを改善する不正咬合を顎変形症といいます。

下あごの突出で、前歯で食物がかみ切れなかったAさん
  1. 矯正料金

    あごの手術を併用する矯正歯科治療には、健康保険が適用されます。ただし、「顎口腔機能診断施設」で矯正歯科治療を行う場合のみです。
    当院は顎口腔機能診断施設に該当しております。

  2. 矯正装置

    あごの手術を併用する矯正歯科治療でも矯正装置は一般の矯正歯科治療と同じ銀色のワイヤーまたは、ホワイトワイヤーを使用します。

  3. 治療期間

    術前矯正治療・手術・術後矯正治療の合計の期間は、患者さんの歯並びの状態によって違いますが、およそ1~3年くらいです。
    その間矯正治療に通うのは、1ヵ月に1度ほどです。

  4. 手術時期

    手術はあごの成長中には行いません。手術後、また上下のあごのアンバランスな成長が起きて、咬み合わせが悪くなると困るからです。
    手術はあごの成長が終了してから行います(およそ男性18歳、女性16歳以降)。ただし、ある日突然「成長が終わったのですぐ手術してください。」と希望されても、できません。
    手術前の矯正歯科治療(術前矯正治療)が必要です。

あごはいろいろな方向にズレています

上あごと下あごの大きさの不調和や前後・左右などさまざまなズレは、歯並びや咬み合わせに悪い影響を与えます。

あごはいろいろな方向にズレています

外科手術だけでは治りませんか?

人間の体は、どこかが悪いと、他の部分がそれを補うように働きます。上下のあごがズレている場合、歯があごのズレを補正して、できるだけかめる位置に自然に動いています。
この歯をそのままにして手術だけ受けると、上下の歯の咬み合わせが安定しないため、どこでかんでよいかわからない状態になります。
そうすると、あごの位置が不安定になって、せっかく手術で正しくなったあごの位置が再びズレてくることになります。
治療後の状態を安定したものにするためには、矯正歯科治療が必要です。

あごのズレや歯並び、咬み合わせが気になったら? <相談から手術・治療まで>

症例

初診時:奥歯が咬み合っていても前歯が合わない「開咬」と「下顎前突」の症状でした。

  1. 相談

    まず矯正歯科専門医院に相談してください。治療の概略をご説明します。

    相談
  1. 検査・診断

    検査・診断をして、その結果を説明し、治療の計画をたてます。

  1. 術前矯正治療

    あごのズレによって動いていた歯を元の位置に戻して並べ、手術が済んだ時点で上下の歯がきっちり咬み合うようにしておきます。

    術前矯正治療
  1. 入院・手術・退院

    あごの外科手術は、通院中の矯正歯科医院と手術担当病院が連携して行います。

    3Dサージカルシュミレーション
  1. 術後矯正治療

    手術後、微調整をして、歯ならびをより安定したものにします。

    術後矯正治療
  1. 保定

    矯正装置を外した後、歯が動いた後の骨や歯ぐき、頬、唇、舌などが、治療後の歯並びやあごの位置になじむのを待つ時期です。

    保定

以下の疾患に起因した咬合異常に対する矯正歯科治療

  • 1.唇顎口蓋裂
  • 2.ゴールデンハー症候群(鰓弓異常症を含む。)
  • 3.鎖骨頭蓋骨異形成
  • 4.トリーチャ・コリンズ症候群
  • 5.ピエール・ロバン症候群
  • 6.ダウン症候群
  • 7.ラッセル・シルバー症候群
  • 8.ターナー症候群
  • 9.ベックウィズ・ウイーデマン症候群
  • 10.顔面半側萎縮症
  • 11.先天性ミオパチー
  • 12.筋ジストロフィー
  • 13.脊髄性筋委縮症
  • 14.顔面半側肥大症
  • 15.エリス・ヴァンクレベルド症候群
  • 16.軟骨形成不全症
  • 17.外胚葉異形成症
  • 18.神経線維腫症
  • 19.基底細胞母斑症候群
  • 20.ヌーナン症候群
  • 21.マルファン症候群
  • 22.プラダー・ウィリー症候群
  • 23.顔面裂(横顔裂、斜顔裂及び正中顔裂を含む。
  • 24.大理石骨病
  • 25.色素失調症
  • 26.口腔・顔面・指趾症候群
  • 27.メビウス症候群
  • 28.歌舞伎症候群
  • 29.クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群
  • 30.ウイリアムズ症候群
  • 31.ビンダー症候群
  • 32.スティックラー症候群
  • 33.小舌症
  • 34.頭蓋骨癒合症(クルーゾン症候群及び尖頭合指症を含む。)
  • 35.骨形成不全症
  • 36.フリーマン・シェルドン症候群
  • 37.ルビンスタイン・ティビ症候群
  • 38.染色体欠失症候群
  • 39.ラーセン症候群
  • 40.濃化異骨症
  • 41.6歯以上の先天性部分(性)無歯症
  • 42.CHARGE症候群
  • 43.マーシャル症候群
  • 44.成長ホルモン分泌不全性低身長症
  • 45.ポリエックス症候群(XXX症候群、XXXX症候群及びXXXXX症候群を含む。)
  • 46.リング18 症候群
  • 47.リンパ管腫
  • 48.全前脳胞症
  • 49.クラインフェルター症候群
  • 50.偽性低アルドステロン症
  • 51.ソトス症候群
  • 52.グリコサミノグリカン代謝障害(ムコ多糖症)
  • 53.線維性骨異形成症
  • 54.スタージ・ウェーバ症候群
  • 55.ケルビズム
  • 56.偽性副甲状腺機能低下症
  • 57.Ekman-Westborg-Julin症候群
  • 58.常染色体重複症候群
  • 59.その他顎・口腔の先天異常

前歯及び小臼歯の永久歯のうち3歯以上の萌出不全に起因した咬合異常
(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る。)に対する矯正歯科治療