院長よりひとこと(導入の背景)

矯正治療をご検討中の皆さまの中には、「治療に何年もかかるのは大変そう」「歯が動くときの痛みが心配…」といった不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。私たちも日々、治療期間や痛みに関するご相談をいただきます。こうした患者様の負担を少しでも軽減し、矯正治療をより早く・快適に進められるようサポートしたい――その想いから当院では、新たに光と振動による矯正治療補助装置「デンタルヘルスガード」と「デンタルプロ」を導入しました。
どちらも1日数分のご使用で、歯の動きを促進することが期待できる機器です。矯正装置と併用することで、治療期間の短縮や痛みの軽減をサポートしてくれます。矯正治療中の「もっと早く終わらせたい」「できるだけ痛みを少なくしたい」というお気持ちに寄り添う、新しい選択肢としてぜひご注目ください。

矯正治療中によくあるお悩み

矯正治療では、歯並びが整うまでに年単位の時間が必要になることがあります。
また、ワイヤー調整後やマウスピース交換直後に感じる痛み・違和感も、患者様にとって大きな負担となりがちです。そのため、

  • 「できれば治療期間をもっと短くしたい」
  • 「ワイヤー調整後の痛みがつらいので和らげたい」
  • 「忙しいので通院期間を長引かせたくない」

といったお悩み・ご希望は決して珍しくありません。
実際、一般的な矯正治療では1~3年程度を要するケースが多く、治療中に痛みを感じることもあります。
こうした声にお応えするため、世界中で研究・開発が進められているのが「矯正治療を加速するための補助装置」です。
当院が導入した「デンタルヘルスガード」「デンタルプロ」も、そのような装置の中から厳選したものです。

矯正治療をサポートする2つの装置

それでは、当院でご利用いただける2種類の矯正治療補助装置についてご紹介します。
それぞれアメリカなど海外で開発された技術で、日本国内でも医療機器として正式に届け出・承認されている安全な装置です(いわゆる「未承認機器」ではありません)。近赤外線ライトを用いたものと、高周波振動を用いたものの2種類があり、併用も可能です。
装置はご自身で毎日簡単に使用でき、わずか数分のケアで歯の動きを助けてくれる頼もしいアイテムです。

デンタルヘルスガード(旧称PBMオルソヒーリング)

デンタルヘルスガード(旧称PBMオルソヒーリング)

デンタルヘルスガードは、マウスピース型の装置から近赤外線LEDの光を歯ぐき・歯根の周囲に照射することで、矯正治療をサポートする機器です。
近赤外線の光エネルギーを歯周組織に当てると、細胞のエネルギー産生が促進され、骨のリモデリング(再生と吸収)が活発になります。その結果、歯の移動スピードが高まり、痛みも和らぐ効果が期待できます。まさに“光のチカラ”で歯を動かす新しいアプローチといえるでしょう。
使い方はとても簡単で、薄型のマウスピースを毎日お口に装着し、上下それぞれ約5分ずつ(合計約10分)光を照射します。装置から出る光はおよそ850nmの近赤外線で、痛みや熱さを感じることはありません。レーザーのような強力なものではなく、やさしい光エネルギーで細胞を刺激する仕組みです。装置はコードで小型のバッテリーとつながっており、ご自宅でテレビを見ながらでも手軽にご使用いただけます。非侵襲的(手術を伴わない)な方法なので体への負担もありません。
デンタルヘルスガードの導入により、「矯正期間が長くて不安…」という患者様の負担を少しでも軽減できればと考えております。

費用:デンタルヘルスガード本体
66,000円(税込)

デンタルプロ(旧称PBMバイブアジャストメント)

デンタルプロ(旧称PBMバイブアジャストメント)

デンタルプロは、1秒間に約200回の高周波で微細な振動(マイクロバイブレーション)を歯に与えることで、歯の移動を促進する矯正補助装置です。
マウスピース型の振動子を軽く噛むことで心地よい振動が歯とその周囲組織に伝わり、骨代謝(骨の形成と吸収)を刺激して細胞を活性化します。これにより、歯の動きを後押しして矯正期間の短縮が期待できます。さらに、振動刺激には痛みを和らげる効果も報告されており、ワイヤー調整後やマウスピース交換後の不快感軽減にも役立つ可能性があります。
デンタルプロの使用時間は1日わずか約6分程度で構いません。就寝前などリラックスした状態で装置をお口にくわえ、軽く噛んでスイッチを入れるだけでOKです。振動は穏やかで痛みはなく、テレビを見ながらでも手軽に継続できます。
また、この振動によってマウスピース矯正中のアライナー(マウスピース)がより歯にしっかりフィットしやすくなるという報告もあります。アライナーがしっかりはまることで歯の“ずれ”を防ぎ、計画通りに歯が動きやすくなるため、結果として追加のマウスピース作製(リファインメント)を減らせる可能性も示されています。
デンタルプロはデンタルヘルスガードとの併用も可能で、光と振動のダブルアプローチでさらなる効果が期待できます。
どちらの装置も、ご自身で好きなタイミングで使用できるため、日々の矯正ライフに無理なく取り入れられるでしょう。

費用:デンタルプロ本体
55,000円(税込)

科学的根拠(エビデンス)と安全性

光によるPBM(フォトバイオモジュレーション=光生体調節)効果や振動刺激による矯正促進効果については、近年国内外で多数の研究報告がなされています。例えば、弱い近赤外線や微振動を歯周組織に与えることで矯正治療期間の大幅な短縮や痛みの軽減につながったとの報告があります。
高周波振動(HFV)デバイスに関する臨床研究では、振動を併用したグループの方が治療期間が有意に短縮され、必要なマウスピースの枚数(ひいては追加処置の回数)も減少したとのデータも示されています。こうしたエビデンスは増えつつありますが、一方で効果の現れ方には個人差があり、症例ごとに結果が異なることも分かっています。
当院では最新の知見も踏まえつつ、患者様一人ひとりのケースに照らして、これらの装置の有用性を判断・ご提案しております。