矯正治療をサポートする2つの装置
それでは、当院でご利用いただける2種類の矯正治療補助装置についてご紹介します。
それぞれアメリカなど海外で開発された技術で、日本国内でも医療機器として正式に届け出・承認されている安全な装置です(いわゆる「未承認機器」ではありません)。近赤外線ライトを用いたものと、高周波振動を用いたものの2種類があり、併用も可能です。
装置はご自身で毎日簡単に使用でき、わずか数分のケアで歯の動きを助けてくれる頼もしいアイテムです。
デンタルヘルスガード(旧称PBMオルソヒーリング)
デンタルヘルスガードは、マウスピース型の装置から近赤外線LEDの光を歯ぐき・歯根の周囲に照射することで、矯正治療をサポートする機器です。
近赤外線の光エネルギーを歯周組織に当てると、細胞のエネルギー産生が促進され、骨のリモデリング(再生と吸収)が活発になります。その結果、歯の移動スピードが高まり、痛みも和らぐ効果が期待できます。まさに“光のチカラ”で歯を動かす新しいアプローチといえるでしょう。
使い方はとても簡単で、薄型のマウスピースを毎日お口に装着し、上下それぞれ約5分ずつ(合計約10分)光を照射します。装置から出る光はおよそ850nmの近赤外線で、痛みや熱さを感じることはありません。レーザーのような強力なものではなく、やさしい光エネルギーで細胞を刺激する仕組みです。装置はコードで小型のバッテリーとつながっており、ご自宅でテレビを見ながらでも手軽にご使用いただけます。非侵襲的(手術を伴わない)な方法なので体への負担もありません。
デンタルヘルスガードの導入により、「矯正期間が長くて不安…」という患者様の負担を少しでも軽減できればと考えております。
- 費用:デンタルヘルスガード本体
- 66,000円(税込)
デンタルプロ(旧称PBMバイブアジャストメント)
デンタルプロは、1秒間に約200回の高周波で微細な振動(マイクロバイブレーション)を歯に与えることで、歯の移動を促進する矯正補助装置です。
マウスピース型の振動子を軽く噛むことで心地よい振動が歯とその周囲組織に伝わり、骨代謝(骨の形成と吸収)を刺激して細胞を活性化します。これにより、歯の動きを後押しして矯正期間の短縮が期待できます。さらに、振動刺激には痛みを和らげる効果も報告されており、ワイヤー調整後やマウスピース交換後の不快感軽減にも役立つ可能性があります。
デンタルプロの使用時間は1日わずか約6分程度で構いません。就寝前などリラックスした状態で装置をお口にくわえ、軽く噛んでスイッチを入れるだけでOKです。振動は穏やかで痛みはなく、テレビを見ながらでも手軽に継続できます。
また、この振動によってマウスピース矯正中のアライナー(マウスピース)がより歯にしっかりフィットしやすくなるという報告もあります。アライナーがしっかりはまることで歯の“ずれ”を防ぎ、計画通りに歯が動きやすくなるため、結果として追加のマウスピース作製(リファインメント)を減らせる可能性も示されています。
デンタルプロはデンタルヘルスガードとの併用も可能で、光と振動のダブルアプローチでさらなる効果が期待できます。
どちらの装置も、ご自身で好きなタイミングで使用できるため、日々の矯正ライフに無理なく取り入れられるでしょう。